こんにちは。
心理カウンセラーの斎藤きよみです。
最近家族旅行に行ってきました。
美味しいご飯と大好きな人たちとの時間は素敵なリフレッシュになりますね。
さて、今回は"突然の過呼吸どうしたらいい?"というテーマについて説明していきたいと思います。

目次
この記事を読む前に
今回の記事では「パニック発作」に関することを取り扱います。
ただし、過呼吸は「パニック発作」の一種でしかありません。
「パニック発作」の種類については今回は触れませんが、様々な症状があります。
また、過呼吸と一言で言っても継続時間や症状のレベルによっては、身体的な異常があることもあります。
少しでも心配な状況がある場合は、この記事だけの応急処置で終わらせるのではなく、医療機関に相談してみて下さい。
さて、前置きが長くなってしまいました。
本題に入っていきましょう。
”突然の過呼吸どうしたらいい?”について書こうと思ったきっかけ
最近カウンセリングでこんなやり取りがありました。
相談者「あっ、はっ、息が…どうしようどうしよう助けて下さいどうしよう」
カウンセラー「発作は必ずおさまりますから、焦らなくて大丈夫です。大丈夫。」
相談者「どうしようどうしようどうしたらいいっですか…っ」
カウンセラー「今誰か近くにいますか?」
相談者「息子がっ、今は、自分の部屋で、えっと…」
想像出来ない方もいらっしゃるかと思いますが、突然息が上手に吸えなくなってしまう方もいらっしゃいます。
そんな時、相談者さん達は「このまま死ぬんじゃないか」という恐怖と闘っているのです。
その恐怖は本人以外には計り知れないことです。
しかし、過呼吸のような発作が起きた時に応急処置を行なうことはできます。
もちろん長期的にカウンセリングで不安をやわらげていくこともありますが、今回は応急処置に絞って書いていきたいと思います。
大事なポイント①冷静な声掛け
上手に息が吸えない
呼吸の仕方を忘れてしまった
自分が今どこにいるのか分からない
これらは過呼吸が起きた時の、本人の気持ちのほんの一部です。
では、このような気持ちになっている人に対してどのような声掛けをすればよいのでしょうか。
まずは、サポート側が冷静になることです。
一緒にパニックになっていては落ち着くはずの過呼吸も落ち着きません。

以下のように優しい口調で声掛けをしてあげて下さい。
「ここなら大丈夫だよ」
「今どこにいるの?」
「安全な場所に歩いていける?」
まずは安全な場所への誘導がとても大切になってきます。
本人の隣にいられる場合には一緒に行動してください。
本人の近くにいない場合は「今どこにいるの?」からお聞きするのがよいでしょう。
冒頭のやりとりで私(カウンセラー)が「今誰か近くにいますか?」と聞いたことにも意図があります。
その意図としては、恐怖で頭がいっぱいの状態から、現実の世界に引き戻すことです。
「(現実世界の)あなたの近くには誰かいますか?」という気持ちで聞いていました。
他にはこんな質問をすることもあります。
「今はお部屋は電気ついているの?」 ⇒本人が周りを見渡せる状況かの確認
「近くにお水やお茶はある?」 ⇒落ち着いてきた時に水やお茶を一口飲める状態かの確認
「今布団とかぬいぐるみとか何かを抱きしめているの?」 ⇒本人が安心できる態勢かどうかの確認
気球に乗って遠くに行ってしまった本人の意識の紐をたぐり寄せてあげる感覚です。
大事なポイント②症状が弱まる時間
ここでとっても大事な情報があります。
「10~15分程度で症状は必ずおさまる」ということです。
えっ⁉意外と短い!! と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は現場に遭遇すると、その10~15分が本人にとってもサポート側にとっても、ものすごく長いものに感じられるのです。
なぜかというと、本人は恐怖と不安と闘うことで精一杯ですし、サポート側も「この時間はいつ終わるの…?」という不安と闘っているからです。
だからこそ、過呼吸が起きた時にはこのように声掛けをします。
「10分~15分でおさまるからね」
「必ず落ち着くから大丈夫だよ」
お互いに言葉にすることで冷静さを取り戻すきっかけになります。

応急処置3つ
1)「息を止めてみて」
過呼吸の時には、無意識に呼吸の数を減らすと「上手に息が吸えない」という感覚が少し薄れてきます。
過呼吸の人に「ゆっくり吸って。吐いて。」というのは難しいことが多いです。
「一旦息を止めてみて」と伝えてみるとよいと思います。
ご自身が過呼吸になった時にも「息を止める」ということを思い出してみて下さい。
※ある程度の信頼関係があるものと前提します。過呼吸になっている本人にとって息を止めることはとてつもない死への恐怖を伴うためです。
2)「座った姿勢で前かがみになって」
まずは安全な場所に移動します。
その後、座れる場所を探して前かがみにしゃがみこみます。
自分を守るように頭に手を置くと、呼吸の数を減らすことが出来ます。
3)「うつぶせで寝そべってみて」
これも安全な場所で寝そべるスペースがある時に使えます。
うつぶせになること、寝そべることに集中することで、少し呼吸から意識を外すことも期待できます。
また。うつぶせで寝そべる状態になると、呼吸状態が整いやすくなります。
口元に紙袋はNG⁉
「過呼吸の時には紙袋を口に当てると落ち着く」という事を聞いたことがある方もたくさんいらっしゃるのではないでしょうか?
実はこれ、NG行為なんです。
袋を口に当てることによって、息を吸う時の酸素と二酸化炭素のバランスを取り戻せるとされています。
しかし、二酸化炭素への過敏性がある方に対しては逆効果になることがあります。

※二酸化炭素への過敏性とは
二酸化炭素の濃度が高い空間は、酸欠状態になりやすいのは誰もが知っていることだと思います。
ただ、パニック症の方は健康な人よりも二酸化炭素濃度に過敏に反応することがあります。
大脳辺縁系の一部で、扁桃体という部分がSOSセンサーを起動して「ここは危ない!」と判断し、過呼吸(発作)が始まることがあるのです。
つまり、紙袋の安易な使用は危険なのでやめておきましょう、ということです。
おわりに
今回は”突然の過呼吸どうしたらいい?”ということをテーマに書いてきました。
さて、ここまで読んでくださった方の中には「いざって時には思い出せないかも…」と思った方もいらっしゃるのではないでしょうか?
そんな時はこの3つだけ覚えておいてください。
口元に紙袋はNG
息を止めてみる
冷静に「必ず落ち着くから大丈夫」と声をかける
繰り返しになりますが、今回の記事はあくまで応急処置についてです。
お身体に不安がある方は医療機関にご相談ください。
最後まで読んでいただきありがとうございました。
参考書籍&参考サイト
稲田「パニック症と過呼吸」
近藤「不安障害の子どもたち」
古川「不安障害の認知行動療法(1)パニック障害と広場恐怖」
坂井,首藤,山本「セラピストのためのエクスポージャー療法ガイドブック」
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