〖講座レポート〗「応用行動分析」で“行動のしくみ”を読み解く。第4回心理学講座開催レポート
- 斎藤きよみ
- 8 時間前
- 読了時間: 5分
こんにちは。
先日開催された 第4回心理学講座 の様子をお届けします。

今回のテーマは 「応用行動分析(ABA)」 です。
「ついSNSを見てしまう」
「遅刻がやめられない」
「言いたいことがあるのに会議で黙ってしまう」
こうした“困った行動”は、つい 「やる気がない」「性格の問題」 と片付けられがちです。
でも応用行動分析では、そこを一歩引いて、感情ではなく“行動”に注目します。
そして行動を、次の3つに分解して見ていきます。
きっかけ(行動の直前に起きたこと)
行動(実際にしたこと)
結果(その行動の直後に起きたこと)
この3つに分けるだけで、「責める」より「理解する」方向に進みやすくなるのが、今回の面白さでした。
応用行動分析(ABA)とは?「根性論」をやめて“仕組み”で見る
講座の冒頭では、色の質問からスタートしました。
「これは何色でしょう?」という問いに答えられるのは、私たちが小さい頃に “教えられ、褒められ、学習してきた” から。

「できた行動」が増えていくことを 強化、
「やらなくなる行動」を 弱化 と呼びます。
ポイントはここです。
行動は “その人の中身” だけで決まらない。
むしろ、直後の結果や、環境との噛み合わせで、増えたり減ったりしていきます。
参加者の声:最初の壁は「きっかけ?結果?どっち?」
今回の回は、初めて触れる人ほど「整理の型」に慣れるまで時間がかかります。
実際に、こんな声が出ました。

Zさんの声
「(きっかけと結果が)どっちがどっちか分からなくなっちゃうのはありました」
Yさんの声
「難しかったけど、普段よく悩むことだから、頭を整理して“相手へのアプローチ”を考えるのに役立ちそう」
最初は混乱してOKです。
大事なのは「正解」を当てることより、“可能性を広げる” こと。
同じ行動でも、きっかけや結果が違えば、理解も支援も変わるからです。
ワークショップ:行動を読み解く4つの事例
講座では、身近な事例でワークを行いました。
(この記事を読んでいる方も、よければノートとペンで一緒に考えてみてください)
① SNSがやめられない(事例:Aさん)

Aさんは仕事中も頻繁にスマホでSNSをチェックする。
上司は「集中力がない」「意欲がない」と感じている。
ここでは、まず真ん中の“行動”を置き、次に きっかけ/結果を複数パターン考えました。
例:
きっかけ:仕事が暇だった
→ 結果:サボっても怒られなかった(=またやる)
きっかけ:仕事で嫌なことがあった
→ 結果:気分転換できた(=またやる)
きっかけ:推しの情報を逃したくない
→ 結果:チケットが取れた(=強化される)
Zさんの声
「推しの情報を逃したってきっかけがあって、仕事中にSNSチェックしたらチケットが取れたからまたやる、っていうのもありそう」
同じ「SNSを見る」でも、
“怠け”ではなく「逃避」「安心」「報酬」かもしれない。
この視点が持てると、人への見方がガラッと変わります。
ちなみに解答例も置いておきます。

② 毎朝5分遅刻する(事例:Bさん)

同僚のBさんは毎朝会議に5分遅刻する。
周りは「ルーズ」「やる気がない」と見ている。
このワークでは、3枠+「目的」まで考えました。
行動の目的は大きく4つに分けられます。
注目(見てほしい/構ってほしい)
感覚(刺激がほしい/落ち着く)
獲得(要求)(欲しいものを得たい)
逃避(回避)(嫌なことから逃げたい)

Yさんの声
「会議前に小言を言ってくる人がいて、5分遅刻すると会わずに参加できた。逃避回避でループしてると思いました」
“遅刻”を責めるだけだと、行動は変わりにくい。
でも目的が「逃避」だと分かれば、支援の方向が見えます。
ハードルを下げる(5分→4分→…)
何が嫌なのかを聞き出す
必要なら、やり方のサポート(報告の型づくり 等)
③ 報告書を出さない(事例:Cさん)

部下のCさんは報告書の提出期限を何度も守らない。
上司は「責任感がない」「仕事ができない」と評価している。
このワークでは、参加者さんが複数パターンを出してくれました。
Zさんの案(3パターン)
「①完璧に作り込みを優先してしまう」
「②不明点があって質問したが無視され、分からないまま期限が過ぎる」
「③少し遅れても大事にならなかったから、また遅れてもいいと学習する」
講師からは、「③は強化(または期限を守る行動の弱化)」という整理と、
“支援の考え方”が補足されました。
①なら:完成度の合意(どこまでで提出OKか)
②なら:相談できる導線/間に入る支援
③なら:交渉の仕方(遅れそうな時の一報ルール、許容ラインの確認)
「できない人」ではなく、つまずきポイントや 学習の結果として見るのがABAの強みです。
④ 会議で意見を言わない(事例:Dさん)

チームメンバーのDさんは会議でほとんど発言しない。
周りは「消極的」「協調性がない」と見ている。
Zさんの声
「発言したら必ず否定される。黙ってれば安全。これは逃避かな」
「分からないから言わない。能力ないと言われそうで言わない。これも逃避」
さらに、こんな発展の可能性も出ました。
「黙ってアイディアを温存して、後で目立ちたい」→ 注目
同じ“沈黙”でも、目的が変われば支援は変わります。
参加者の声:ワークを終えて「相手にも自分にも使える」
最後の振り返りでは、こんな感想がありました。

Yさんの声
「普段よく悩むから頭を整理して、相手へのアプローチを考えるのに役立ちそう」
「対策だけじゃなくて、相手が困ってることにも気づいて助けを出すのにも使えると思った」
「行動を変える」だけでなく、
相手理解→支援設計に繋がるのが、今回の回の到達点でした。
講師からのアドバイス:自分を観察したい人は“記録シート”がおすすめ

もし自分の行動を観察したい場合は、日記のように長文を書くよりも、
「きっかけ・行動・結果+目的」だけを短く記録するのがおすすめです。
日付
きっかけ
行動
結果
目的(注目/感覚/獲得/逃避)
1週間ほどたまると、自分の“起こりやすいパターン”が見えてきます。
「事実は事実、感情は感情」と分ける練習にもなります。
おわりに:責めるより、仕組みを作る
応用行動分析は、
「あなたが悪い」ではなく
「そうなる仕組みがある」 という見方に切り替えるツールです。

自分にも他人にも、少し優しい視点が持てる。
それだけでも、日常は結構ラクになります。
次回は 認知行動療法(CBT) を予定しています。
感情や思考のクセも扱うので、「行動だけだと難しかった…」という方ほど、次回はハマりやすいはずです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



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