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双極症とは?

斎藤きよみ
2023年7月17日
読了時間: 9分

更新日:8月16日

こんにちは。


心理カウンセラーの斎藤きよみです。



「双極症って、気分の浮き沈みが激しいだけ?」
「本人の気持ちの持ちようなんじゃないの?」


双極症に対して、疑問を持つ方もいると思います。



でも、双極症は性格や努力不足で起こるものではありません。




この記事では、現在使われることが増えている「双極症」という表記を使います。


以前は「双極性障害」や「躁うつ病」と呼ばれていました。




双極症の状態やうつ病との違い、治療、周囲の人ができることについて整理します。


2023年に発行されたDSM-5-TRの日本語版では、「双極性障害」から「双極症」へと表記が変更されています。




この記事は一般的な情報を紹介するものです。


診断を行ったり、薬について指示したりするものではありません。


気になる症状がある場合は、医療機関に相談してください。





双極症の状態


双極症は、気分や考え方、行動が大きく高まる時期と、落ち込む時期を繰り返す病気です。


気分が高まる時期を「躁状態」や「軽躁状態」と呼びます。


気分が落ち込む時期は「抑うつ状態」と呼びます。





躁状態の時


躁状態では、普段の自分とは明らかに違う変化が見られることがあります。


例えば、


  • 睡眠時間が少なくても平気な感じがする

  • 次々にアイデアが浮かぶ

  • 話し続けてしまう

  • いつもより活動的になる

  • お金をたくさん使う

  • 普段ならしない行動をする


といった変化です。



本人は「調子がいい!」や「今なら何でもできそう!」と感じていることもあります。


病気の症状だと気づくのが難しい場合もあります。





軽躁状態の時


軽躁状態は、躁状態ほど強くはありません。


本人からすると「いつもより調子がいいだけ」と感じることもあります。


周囲も「最近元気だな」くらいに思っていて、病気の症状だとは気づかないかもしれません。





抑うつ状態の時


抑うつ状態になると、気分が大きく落ち込みます。


例えば、


  • 何をしても楽しいと思えない

  • 体が重く感じる

  • 考えがまとまらない

  • 自分を責めてしまう

  • 眠れない

  • 反対に眠りすぎてしまう

  • 食欲がなくなる

  • 何もする気になれない

  • 死にたい気持ちになる


などの変化が現れることがあります。



躁状態を経験する場合を双極Ⅰ型、軽躁状態と抑うつ状態を経験する場合を双極Ⅱ型と大きく分けることがあります。


症状の現れ方は人によって違います。


記事に挙げた症状があるからといって、自分で双極症だと判断することはできません。






日常的な気分の波との違い


「今日は元気だな」
「今日はちょっと落ち込んでいるな」

私たちにも、日常的な気分の変化はありますよね。



双極症の躁状態や抑うつ状態は、日常的な気分の波とは少し違います。


例えば、


  • ほとんど眠っていないのに元気に動き続ける

  • 話したいことが次々に浮かんできて止まらない

  • 急に大きな買い物をする

  • 布団から出ることも難しくなる

  • 好きだったことにも興味が持てなくなる


といった変化が出ることがあります。



「今日は気分を上げよう!」と思っただけで、簡単に切り替えられるものではありません。



躁状態の時は、本人が「調子がいいだけ」と思っていることもあります。


周囲が心配していても、本人からすると「なぜ心配されるんだろう?」と不思議に感じる場合があります。



本人も「止めたいのに止められない」と困っていることがあります。



気分が高いからといって、必ず躁状態や軽躁状態とは限りません。


落ち込んでいるからといって、必ず双極症というわけでもありません。



「自分も双極症かもしれない」と思っても、この記事だけで判断しないでください。



気になる変化がある時は、次の項目をメモしておくと医療機関で相談する時に役立つかもしれません。


  1. 眠れていた時間

  2. 気分の変化

  3. いつもと違う行動

  4. お金の使い方の変化

  5. 仕事や生活への影響







うつ病との違い


双極症の抑うつ状態は、うつ病の症状とよく似ています。


気分が落ち込んだり、何をしても楽しくなかったり、体が重く感じたりします。



初回の受診では、うつ病だと思って相談することもあります。


双極症では、抑うつ状態の方が先に目立つことがあるからです。



躁状態や軽躁状態の時も、本人は「ちょっと調子がよかっただけ」と思っているかもしれません。


周囲も「最近元気だな」くらいに感じていて、病気の症状だとは気づかないことがあります。



双極症かどうかを考える時には、過去に気分が大きく高まった時期がなかったかを確認することが大切です。


例えば、


  • いつもより眠らずに活動していた

  • ずっと話し続けていた

  • 急に大きな買い物をした

  • 普段とは違う行動が増えていた

  • 周囲から「最近ちょっと変わったね」と言われた


などです。



躁状態や軽躁状態があったからといって、双極症と決まるわけではありません。


過去の気分や睡眠、行動の変化を医師に伝えながら診断してもらいます。



「落ち込んでいるから、うつ病だろう」と決めつけず、過去の変化も含めて相談してみることが大切です。






双極症は甘えではありません


双極症の人を見ていると、


「元気な時はとても動けるのに」
「できる時にやればいいのに」
「気分に振り回されているだけでは?」

と思ってしまうことがあるかもしれません。



でも、双極症は本人の気持ちや努力だけで簡単に調整できるものではありません。


気分が高まっている時には、本人も「今なら何でもできそう!」と感じていることがあります。



反対に、抑うつ状態になると、やらなければいけないことが分かっていても体が動かなくなることがあります。


周囲から見ると、できる時とできない時の差が大きく見えるかもしれません。



本人も、


なんで今日はできないんだろう
周りに迷惑をかけているかもしれない
なんで自分は行動してしまったんだろう

と自分を責めていることがあります。



双極症は、性格が弱いから起こるものでもありません。


努力が足りないから起こるものでもありません。



必要な治療を受けながら、生活リズムを整えたり、周囲のサポートを借りたりして付き合っていく病気です。



「甘えている」と決めつけず、「今の状態を確認してみよう」と考えることが本人への理解につながると思います。






双極症の治療について


双極症は、気合いや根性でどうにかするものではありません。


「もっと頑張らなきゃ」だけで、気分の波を止めるのは難しいことがあります。



病院では、気分を安定させる薬などを使いながら、症状の波を小さくしていきます。


薬を飲んで調子が落ち着いてくると、「もう治ったかな?」と思うこともあるかもしれません。



でも、薬を減らしたりやめたりするかどうかは、自分や家族だけで決めないようにしてください。



薬について気になることがある時は、


  • 副作用が心配

  • 飲み続けることに不安がある

  • 薬を減らしたい

  • 体調が変わった気がする


などを主治医に相談してみてください。



生活リズムを整えたり、睡眠時間や気分の変化をメモしたりすることも、調子の変化に気づく助けになります。



カウンセリングでは、


  • つらかった時のことを整理する

  • 調子を崩しやすいきっかけを振り返る

  • 周囲の人との関わり方を考える

  • 今後の生活について一緒に考える


といったことを行う場合があります。



ただ、カウンセリングだけで双極症を治療することはできません。



病院での治療を続けながら、必要に応じてカウンセリングも使っていく。


複数の支援を組み合わせていくことが大切だと思います。







周囲の人にできること


身近な人が双極症だと、家族やパートナーも戸惑うことがあると思います。


「なぜ急に行動が変わるんだろう?」
「さっきまで元気だったのに、なぜ今は動けないんだろう?」

疑問を持つこともありますよね。



まず大切なのは、本人を責めるのではなく、普段と違う変化に気づくことです。


例えば、


  • 最近よく眠れているか

  • いつもよりずっと話し続けていないか

  • 急に大きな買い物をしていないか

  • 何日もほとんど動けなくなっていないか

  • 仕事や生活に大きな変化が出ていないか


などです。



気になる変化があった時は、「なんで急に行動を変えたの?」と問い詰めるよりも、


「最近あまり眠れていないように見えるけど大丈夫?」
「少し疲れているように見えるけど、何かあった?」

と声をかけてみる方が話しやすいかもしれません。



薬についても、本人や家族の判断だけで減らしたり、やめさせたりしないことが大切です。


気になることがある時は、主治医に相談してください。



支える側が一人で抱え込まないことも大切です。


家族だけで何とかしようとせず、


  • 医療機関

  • 保健所や保健センター

  • 精神保健福祉センター

  • 家族会や相談窓口


などに頼ってください。



双極症の本人を支えることは大切です。


支える人の生活や心身を守ることも同じくらい大切です。






早めに医療機関へ相談したい状態


双極症の症状が強くなっている時は、本人も周囲も対応に迷うことがあります。


以下のような変化がある時は、主治医や医療機関に相談してください。


  • 何日もほとんど眠れていない

  • 強い興奮が続いている

  • 急に大きなお金を使っている

  • 普段とは明らかに違う行動が増えている

  • 何もできない状態が長く続いている

  • 「死にたい」「自分を傷つけそう」と話している




危険な状態の時は、医療機関や救急窓口につないでください。



緊急性が高い時は119番


救急車を呼ぶか迷う時は#7119






おわりに


双極症は、元気な時だけ見ていると病気のようには見えないかもしれません。


「今日はとても元気だったのに」
「できる時もあるのに、なぜ今はできないんだろう?」

周囲の人が疑問を持つこともあると思います。



でも、本人も好きで気分を変えているわけではありません。


本人も周囲の人も、一人で抱え込まなくて大丈夫です。



双極症について知ることは、本人を決めつけるためではありません。


必要な時に、必要な支援へつながるために役立ちます。



私のカウンセリングでは、診断や薬についての指示は行っていません。



気持ちを整理したり、周囲との関わり方を一緒に考えたりすることはできます。


医療機関での治療とカウンセリングを、必要な形で組み合わせていけるとよいと思います。



この記事が、双極症を知るきっかけになれば嬉しいなと思います。





参考資料


日本精神神経学会「双極性障害(双極症)のQ&A」


日本精神神経学会「加藤忠史先生に『双極性障害』を訊く」


厚生労働省「双極症」に関する資料


厚生労働省「こんな時は迷わず119へ」


総務省消防庁「救急安心センター事業(#7119)」

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