こんにちは。
心理カウンセラーの斎藤きよみです。
明後日グランピングに行ってきます。
楽しみすぎて夜しか眠れていません。
さて、今回は"双極性障害"という病気について説明していきたいと思います。
目次
”双極性障害”ってどんな病気?
気分が落ち込むタイミングと、気分が高まるタイミングが繰り返される病気です。
気分が落ち込むタイミングを「うつ状態」、気分が高まるタイミングを「躁状態(そうじょうたい)」と言います。
「うつ状態」と「躁状態」の時の症状はどのようなものがあるのでしょうか。
それぞれ解説していきます。
■「うつ状態」の時
心がふさぐ
日頃興味や喜びを感じていたものに気持ちが向かない
自分を責めてしまう
寝つきが悪い
食欲がない
体が重くすぐに横になってしまう
■「躁状態」の時
興奮し、おしゃべりになる
傍若無人にふるまう
浪費してしまう(ギャンブルやショッピングなど)
性的なトラブルを起こす
考えが次々に浮かんできて止まらなくなる
怒りっぽくなる
自殺を企てる
この「うつ状態」と「躁状態」が繰り返されるのが”双極性障害”です。
この様な波がある人生。
みなさんだったらどう感じますか?
「波があるのは当たり前じゃないか」
「いい時も悪い時もあるのが人生」
「辛い時はお酒で気を紛らわせればいいんだよ」
などと思う人がいるかもしれません。
しかし、”双極性障害”の方は、あなたが考えている何倍も辛い思いをしています。
なぜでしょう?
大きな要因としては、”双極性障害”は脳の病気だからです。
脳の、感情に関わる部分(前部帯状回というところ)が小さくなっているという研究が、ここ20年で分かっています。
とはいえ、
「脳の病気でも気分の波があるのは普通の人と一緒でしょ?」
と思う方もいらっしゃると思います。
「気分の波」と言っても、原因が心ではなく脳機能にあることが肝です。
つまり、”双極性障害”の方には、こんな困りごとがあるのです。
怒りたくなくても怒ってしまう。(躁状態)
動きたいのに身体が動かない。(うつ状態)
いつもの自分じゃないことは分かっているのになぜか何でもできるように振舞ってしまう。(躁状態)
人は怒りたい時に怒り、
泣きたい時に泣き、
動きたくない時に動きません。
でも”双極性障害”の人はその心と身体の連動が困難なのです。
心と身体がどんどん離れていく感じです。
「なんでこんなに動けないんだろう…」
「なんで私はこんなこともできないんだろう」
「なんであんなこと言ってしまったんだろう」
そんなことの繰り返しです。
この「うつ病状態」と「躁状態」の繰り返しが年に4回以上あることを”急速交代化(ラピッドサイクリング)”と言います。
どんな人がなりやすい?
”双極性障害”になりやすい人の特徴をあげておきます。
周囲の出来事や人に対して感情的に共鳴しやすい
責任感が強い
律儀で素直
物事に熱中しやすい
徹底的にやる
このような人が、”双極性障害”になりやすいとされています。
自分の中の「あるべき姿」と「現実の姿」のギャップに苦しんだ末、”双極性障害”と診断される方が多いです。
うつ病とは違うの?
うつ病と”双極性障害”の違いとして一番分かりやすいのは、エネルギーの波の上下です。
このように、「エネルギーの波」が上にも下にも行くのが”双極性障害”で、下にしか行かないのがうつ病です。
参考に、うつ病の症状を載せておきます。
よく眠れない
食欲がない
体重が減る
性欲の減少
行動するのも考えるのも面倒でおっくう
集中力や注意力の低下
双極性障害の人は甘えてるの?
甘えているわけではありません。
”双極性障害”の人は、出来ることと出来ないことがあります。
これは、語弊を恐れずに言うなれば発達障害と似たようなものです。
先程もお伝えしたように、”双極性障害”の人はエネルギーの変動から、遅刻したり、報連相が出来なかったり、ドタキャンをしたり、突然自殺企図をしたりします。
これは本人の気持ちや意図とは関係ないことが多いのです。
脳の機能によって、こうならざるを得ないのです。
相談者さんの中には、「気付いたらマンションの屋上にいて、飛び降りる直前でした」という方もいます。
これは、エネルギーが溢れてしまった「躁状態」だったと考えられます。
”双極性障害”の人は、甘えているわけではありません。
逆に「どうして自分はこんなにだめなんだろう…」と責めていることの方が多いのです。
しかし、脳の機能によって「甘えているように見えてしまう」ことが多いのが現状です。
双極性障害の治療
”双極性障害”の治療は2つあります。
薬物療法
心理療法
1.薬物療法
気分安定薬(炭酸リチウムなど)、抗精神病薬などが使われます。
さらに、不眠症を併発していることも多いので、睡眠導入剤なども一緒に処方されることが多いです。
”双極性障害”のエネルギーの波を抑えるために、
薬を使うことによって、本人が「生きやすく」なれます。
薬を無理矢理やめさせることは、本人の「生きやすさ」を奪うことになります。
また、薬は少ない方がよいだろうと考え、自分で勝手に飲む量を減らしたり、
薬を周囲の判断でやめると、「離脱症状」というものが出てくる可能性があります。
「離脱症状」とは、薬が身体から急になくなることで起きる症状です。
薬を減らしてから1~3日ほどでみられることが多いです。
めまい・頭痛・吐き気・だるさ・しびれ・耳鳴り・イライラ・不安・不眠・ソワソワ感などの症状がみられます。
2.心理療法
先ほど、”双極性障害”になりやすい方はこのような方だと書きました。
周囲の出来事や人に対して感情的に共鳴しやすい
責任感が強い
律儀で素直
物事に熱中しやすい
徹底的にやる
このような方は、責任感が強かったり徹底的にやる事から、考え方のクセが固まりやすい傾向にあると考えられます。
”双極性障害”の方に関しては、完璧主義の方も多くみられるので「認知行動療法」という、自分の考え方のクセを知って修正していこう!というカウンセリングを行なっています。
ただし、認知行動療法が向いていないなとカウンセラーが判断したときには、別の手法でカウンセリングを進めていきます。
双極性障害の家族の方へ
ここまで”双極性障害”の本人について説明してきました。
ではご家族やパートナーはどうしたらいいでしょうか。
ここからは家族や、会社、親しい人に”双極性障害”の方がいる方に読んでほしい部分です。
周囲の人が”双極性障害”の場合、気を付けてほしいことが3つあります。
薬を主治医の指示なくやめさせない
ストレスをためさせない
援助側がストレスをためないようにする
①薬を主治医の指示なくやめさせない
”双極性障害”では、「躁状態」を抑える薬と、気分を安定させる薬などが出されます。
薬を飲んでいる間は、気分が安定してくるものですが、これを「治った!」と誤解して、自分や親しい人の判断でやめてしまい、ぶり返すことがよくあります。
親しい人は「躁状態」と「うつ状態」のギャップに驚き、歯がゆさもつのることでしょう。
しかし、「彼女(彼)は病気である」という認識を忘れずに、見守ったり、叱ったりしないことが大切です。
②ストレスをためさせない
ストレスは”双極性障害”の症状の悪化になることがあります。
躁状態の時に本人は活力にあふれ、元気なふるまいをするため、本人も、周囲からも、ストレスが溜まっていないように見えることがあります。
しかしそれはあくまで躁状態の特性のひとつであるため、ストレスが溜まっていることに本人が気づいていないだけの場合が多くあります。
この時のストレスが”双極性障害”の症状を悪化させ、鬱状態の落ち込みを激しくすることがあります。
自分のストレスに気づきにくい”双極性障害”の方に対しては、疲れているようなら休息を勧め、心配事がありそうなら話すように働きかけるなどの配慮が必要になります。
③援助側がストレスをためないようにする
”双極性障害”の方と付き合う時によくありがちなのは、「病気である」ということを忘れて「普通」を期待してしまうことです。
”双極性障害”の方は、周りの人が思っているよりも「普通」の生活を送ることが困難です。
もっと言うと、「躁状態」のタイミングでないと「普通」に見えない事さえあります。
援助側は、”双極性障害”の人と関わるときに「どこのラインがこの人の普通なの…?」と思うことがあると思います。
よく観察して、どういったときに「うつ状態」になりやすいのか、何がきっかけで「躁状態」になりやすいのかを掴んでください。
おわりに
ここまで”双極性障害”について説明してきました。
”双極性障害”の方の生きづらさは、そうでない方には分からないものがあります。
どうか、わかったふりをしないでください。
「双極性障害って言ってたけどあいつ元気そうだったぜ」
なんて言葉は使わないでください。
その”双極性障害”の方は、頑張ってエネルギーを高めて、「躁状態」に持っていってあなたに会っていたのかもしれないのです。
オススメサイト&参考書籍
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