こんにちは。
心理カウンセラーの斎藤きよみです。
明日は大学時代の恩師とzoomします。
凄く辛かった時に助けてくださった方の一人です。
さて、今回は"自閉症"という発達障害について説明していきたいと思います。
目次
”自閉症”について書こうと思ったきっかけ
カウンセリングをしていると、こんなお声を聴くことがあります。
「自分の殻に閉じこもる人でしょ」
「引きこもりのこと?」
「自閉症って陰気なイメージあるんですけど…」
実はこれらは全て、”自閉症”という名称から勘違いされて生まれてきたイメージなんです。
発達障害ってそもそも何があるの?
発達障害には大きく分けて3種類の障害があります。
自閉スペクトラム症(ASD)
注意欠陥多動性症(ADHD)
学習障害(LD)
一般的には子どもの頃に診断されることが多いですが、大人になってから診断されるケースも増えてきています。
近年「大人の発達障害」という言葉もよく使われるようになってきました。
”自閉症”と”自閉スペクトラム症”の違い
”自閉症”は”自閉スペクトラム症”の中のひとつです。
”自閉スペクトラム症”とは、自閉症・アスペルガー症候群などを含んだ概念です。
ただ、80年前はただ単に”自閉症”と呼ばれていたり、”自閉的な精神病者”という言葉が使われていました。
その影響もあってか、”自閉症”という言葉から、
「自分の殻に閉じこもる人でしょ」
「引きこもりのこと?」
「自閉症って陰気なイメージあるんですけど…」
などのイメージになってしまったのではないかと思われます。
というわけで、今回は10年前(2013年)に名称変更された”自閉スペクトラム症”について書いていきます。
ちなみに”自閉スペクトラム症”の「スペクトラム」とは、「連続している」という意味です。
「スペクトラム」という言葉は、虹で例えられることが多いです。
ある色の部分を見れば特徴が際立っているのに、それぞれも色は連続していて、境界線がないということです。
”自閉スペクトラム症”とはAutism Spectrum Disorderの頭文字をとって”ASD”とも呼ばれています。
”自閉スペクトラム症”の特徴は?
さて、今回注目する”自閉スペクトラム症”ですが、どのような特徴を持っているのでしょうか?
以下のような特徴があります。
「意外と自分も当てはまるのでは?」と思う方も多いのではないでしょうか。
相手の立場に立って考えることが苦手
言葉を文字通り解釈する
「適当に」「なるはやで」等の言葉が苦手
こだわりが強い
音や光、においに敏感
見通しが立たないと不安になる
特徴が現れるのは脳機能の違い?
なぜこのような特徴が現れてくるのでしょうか。
それは、脳の機能の違いが原因です。
脳機能の違いについては難しいので、2つだけご紹介します。
①脳機能の違い
空気を読む脳の機能が弱い。
”自閉スペクトラム症”の人の脳は、脳のある領域の活動が活発ではありません。
この脳の領域には、人の表情や声色などの言葉以外の情報を重視する機能と、他者の意図を正しく読む機能があります。
つまり、”自閉スペクトラム症”の人の脳は、人の表情や声色などの雰囲気を察する機能が弱いと言えるでしょう。
②脳の体積の違い
協調や共感に関わる脳の体積が少ない。
”自閉スペクトラム症”の人の脳は2つの領域の体積が少ないことが分かっています。
1つ目は共感・協調に関わる領域
2つ目は共感によって他者の感情を理解する領域
これら2つの体積が少ないことによって、対人コミュニケーションに困りごとが多く出てきてしまうと言われています。
つまり、”自閉スペクトラム症”の人の脳は、他者を理解し、協調する機能が弱いと言えます。
”自閉スペクトラム症”に特効薬はあるの?
2022年9月までの情報では、根本的解決のための特効薬は存在しないと言われています。
しかし、”自閉スペクトラム症”の特性は年齢とともに緩和される可能性があることが分かっています。
ある程度年齢を重ねていくにつれて、自分の特性を理解し、環境を調整していくのも可能です。
基本的には、日常的にある「困りごと」に焦点を当てて、不安障害や依存症などの2次障害を防ぐことの方が重要だと考えています。
病院で何かお薬を処方された場合は、「睡眠障害」や「不安障害」などの2次障害のためのお薬のことが多いです。
自閉症って自分の殻にこもる人のこと?
ここまでで分かっていただけたかと思いますが、”自閉スペクトラム症”が「陰気で殻に閉じこもる人」と言う印象は間違っています。
脳機能の違いから、社会的なコミュニケーションが苦手だったり、繰り返しの行動をとることに安心したりする特性を持った人のことです。
勘違いされやすい”自閉スペクトラム症”
私個人としては、”自閉スペクトラム症”はとても広い概念だと思っています。
つまりこんなことが起きやすいのです。
「AさんもBさんも同じ『自閉スペクトラム症』らしいけど性格全然違くない?」
「Cさんは『自閉スペクトラム症』って自分で言ってたけど、ちゃんと会話できるよ?」
「DさんもEさんも光が苦手らしいけど、Dさんが全く外に出ないのに比べて、Eさんはサングラスすれば出れるらしい…なんで…?」
同じ”自閉スペクトラム症”だということに変わりはないのですが、「困りごと」は人によって全然違います。
たとえ同じ「困りごと」でも度合いが全然違うこともあります。
この記事を読んでくれている方に注意してほしいことは
「あー、”自閉スペクトラム症”ってそういう人ね。と簡単にカテゴライズしないでほしい。」
と言うことです。
おわりに
ここまで読んでくださってありがとうございます。
今回の内容は少し難しかったと思います。
またいつか、もっと簡単に困りごとへの対処法などをまとめた記事も書こうと思っています。
それから「そもそも発達障害って何?」という方もいると思うので、そちらも追々書いていきます。
今回たくさん難しいお話をしましたが、気にしてほしいことはこの1つです。
”自閉スペクトラム症”の方に出会ったら
「この人はどんな世界で、どんな困りごとを抱えながら生きているんだろう?」
と興味をもって接してみてください。
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