top of page
斎藤きよみ

お金に不安を抱えた妻と、責められたと感じる夫

更新日:2023年9月10日

こんにちは。

心理カウンセラーの斎藤きよみです。


最近、飼っているニワトリの掃除をサボっています。

明日やります…!!!


さて、今回は"夫婦の関係"というテーマについて説明していきたいと思います。


だいぶ難しいテーマなので、実際の事例を参考にしながら書いていきます。




目次




この記事を読む前に

この記事では「~な妻」「~な夫」という記述をしていますが、この記述は男女差について何らかの決めつけをするものではない、という前提のもと書いていきます


「男性によく見られる特徴」が女性に見られることもあると思いますし、「女性によく見られる特徴」が男性に見られることもあると思います。




よくある夫婦の「ズレ」

さて、事例紹介にいきます。



【事例1】

お金に不安を抱えた妻と、責められたと感じる夫


<前提情報>

  • 夫は勤めていた会社の倒産によって職を失った

  • 妻と夫には小さな子どもがいる

  • 妻は育児のため、働くことが出来ない

  • 妻は生活の不安を強く感じている


妻の不安をよそに、夫は体調不良を理由に、就職活動にも出かけずゲームばかりやっていました。


また、就職で最終面接まで行けた夫は「給料が低い」と内定を断りました。


不安に耐えられなくなった妻は、夫が家にいるのを見るとこう言ってしまいます


「いつまでゲームしているの?」


「なんで就職しないの?」


「あなた、この子育てる気あるの?」


夫は妻に対して黙って部屋にこもってしまいます


そんな夫を見て、妻は


「現実から逃げている」


「私はこんなにお金のことを考えてやりくりしているのに」


と腹が立ち、ますます強く言ってしまいます。



さて、ここまでが事例紹介です。


一見、妻が夫を責め立てているように感じますが、どのように感じたでしょうか。




よくあるコミュニケーションの3パターン

夫婦のコミュニケーションには、よくあるパターンがあります。


その根底となっているのは「境界線オーバー」です


「境界線オーバー」とは、どちらかが”他者である”ということを忘れてしまって、相手の領域(心理的・物理的)に踏み込んでしまうことです。


正常な状態はこのように妻と夫がそれぞれ領域を持っていて、「境界線」で区切られています。



しかし、妻が「境界線オーバー」をしてきた場合、このような形になります。



例えば、妻が自分の価値観を押し付け、夫がそれをただ我慢している場合などです。


「境界線オーバー」は、互いに唯一の依存先が相手しかいない状態なども指します。


この「境界線オーバー」が前提となって、夫婦の「ズレ」が起こることが多いと思います。


さて、ではそんな夫婦の「ズレ」にはどのようなコミュニケーションパターンがあるのか、解説していきます。


たくさんあるのですが、3つピックアップして書いていきます。

  1. 言葉で伝えない

  2. 過干渉をする

  3. 寡黙は男のしるしだと思い込む



①言葉で伝えない

言葉を使わずに、態度で伝えようとすると夫婦の「ズレ」が起きやすくなります。


(例)

  • ため息

  • 不機嫌そうな顔

  • 舌打ち

  • ドアをばたんと閉める

  • 音を立てて食器を乱暴に扱う、など


事例を思い出してみましょう。


妻に「いつまでゲームしているの?」と言われた夫は黙って部屋にこもってしまいます。


これも言葉を使わないコミュニケーションです。


夫の気持ちとしては、こんな感情を示しているつもりかもしれません。

  • もういい加減にしてくれ

  • これ以上話したくない

  • 責められてつらい


しかし、妻がそれ以外の感情を、言葉なしに汲み取ることは中々出来ることではありません。


それ以外の感情とは、夫の本当の気持ちである部分のことです。

  • 男として体裁が悪い

  • 今の状況に情けなさを感じている

  • 上の2つを責められるとつらい


結果として、妻は「もういい加減にしてくれ」などの感情は受け取ることが出来ても、本当の感情には気付くことが出来ずに「現実から逃げている!」という風に感じてしまっています。


そして現実から逃げている夫を、なんとかしようとさらに強く言ってしまいます


夫が本当の気持ちを言葉にして妻に伝えることが出来ていれば、夫がつらさを感じていることを知り、別のアプローチを取ることが出来たかもしれません。



②過干渉になる

事例だと、夫は小さい子どもがいるのにもかかわらずゲームをしていました。


妻が夫に対して「私がしっかりしなきゃ」と思うのは自然かもしれません。

ただ、妻は


「いつまでゲームしているの?」


「あなた、この子育てる気あるの?」


などと、間接的な表現を使うことによって「私が言いたいこと分かるでしょ?」という姿勢をとってしまっています。


さらに、


「現実から逃げている」


「私はこんなにお金のことを考えてやりくりしているのに」


などと、夫の状況や感情に干渉することによって、夫を現実逃避から目覚めさせようとしています。


ここでも夫の本当の気持ちが伝わっていないことが問題になっています。


夫は部屋にこもってしまっています。


妻の態度のどこが不満で、どうしてほしいのかが全く伝わっていないことが問題です。


本当の気持ちとしては、このようなものがあるのではないでしょうか。

  • 僕も毎日の生活のことに不安を感じている

  • どうしたらいいかわからず簡単なゲームをしながら考え事をしている

  • 就職した方がいいのは分かっている

  • 子育てのことで焦っている

  • 子どもには好きなことをさせるためにお金が必要だと考えている


さらにこんな気持ちも根底にはあるかも知れません。

  • 母親みたいにうるさく言わないでほしい

  • 自分が信用されていないような気持ちになる


この時に夫が自分の感情や状況を把握し、このように伝えていたら妻も安心して納得するかも知れません。


「僕も毎日の生活に不安を抱えているし、就職した方がいいのは分かっている。

子どもには好きなことをさせたいと考えている。

だから母親みたいに小言を言われてしまうと、自分が信用されていないような気になってしまう。

こんな風に責め立てるのはやめてくれないかな。」


妻の態度のどこが不満で、どうしてほしいかを明確にするのは大切なことです。


また、妻も「夫を責め立てたくなっても、悪い結果しか生まない」ということを把握しておくことが重要です。



③寡黙は男らしさだと思い込んでいる

男性側によく見られる特徴として「いちいち言うような話ではない」という姿勢があります。


きちんと説明することを「言い訳がましい」と感じるような考え方です。


今回の事例でも、夫は黙ってしまっています。


本当は色々と考えていたり、妻に配慮していたりするのに、「無神経で何も考えていない」と誤解されてしまうことが多くあります。


妻には「自分は男なんだから、本当はもっと言いたいことがあるけど黙っているのだという姿勢を分かってほしい」という気持ちは伝わりません。


言葉にしなければ、妻に気付いてもらうのは不可能とも言えます。


そんな姿勢に気付いてくれるのはエスパーか何かです。




夫婦の「ズレ」を感じたら?

今回の事例で解説すると、この2つに「ズレ」があります。


妻:「自分の不安を解消してほしい」という気持ち


夫:「自分の焦りや不安を分かってほしい」という気持ち


お互いに、「妻ならば分かってくれるだろう」「夫ならば解消してくれるだろう」という期待によって生まれてしまった「ズレ」です。


このような「ズレ」に対してどうしたらよいのか。


それは、「自分が相手に期待していること」を整理することが第一歩になります


自分の経験や考え、期待していること、などを整理しましょう。


妻の場合

  • 妻がお金に困った経験のある家庭で育った経験

  • 貯金は必須であると考えていること

  • 夫には安定した稼ぎを期待していること


これらを自分自身が把握している必要があります。


そして、言葉にしなければ伝わりません。


夫にも同じことが言えます。


夫の場合

  • 夫が妻と同じように、お金に困った経験のある家庭で育った経験

  • 今ある貯金を切り崩していけば、1年は過ごせると考えて計算していること

  • 就職活動は1年以内に終わらせる予定であること

  • 家族を養っていきたいと考えていること


それを知っているのは自分だけだと知っておく必要があります。


そして同じく、言葉にしなければ伝わりません。




おわりに

今回は事例に沿って、細かく書いてきました。


全体を通して書いていることは「言葉にしなければ伝わらないこと」が思っている何倍も多いということです。


ただ、こんな方もいるかもしれません。


「言葉にしていたが妻がいつも怒るので、もう声をかけるのも辛い」


「何か言葉にするとうるさく言われるので、話したくもない」


「どうせ言っても分かってもらえないに決まってる」


そんな方々に向けての記事も今後書いていけたらなと思っています。


どうしても緊急に相談に乗ってほしいという方は当カウンセリングでも受け付けております。




参考書籍




その他の記事

最新記事

すべて表示

Comments


Commenting has been turned off.
bottom of page