「言いにくい」が減る。アサーティブ・コミュニケーションという選択肢
- 斎藤きよみ
- 7月2日
- 読了時間: 5分
目次

はじめに:伝え方ひとつで、職場のストレスは減らせる
「本当は言いたいのに、言えない」
「つい強く言いすぎてしまって、後悔する」
「自分ばかり我慢してる気がする」
こうした悩みは、20〜30代女性の職場で非常に多く聞かれます。
そして多くの場合、原因は“伝え方”にあります。
その伝え方を改善するヒントとして注目されているのが、
アサーティブ・コミュニケーションです。
よくいる受動型(ノン・アサーティブ):「なんで私ばっかり…」が口ぐせのAさん
入社して3年目、仕事もある程度任せてもらえるようになってきた頃。
でも職場での人間関係は、ずっとどこか居心地が悪かったとのこと。
お願いされたことは断れず、他の人が帰ったあとも一人で資料を直していたり、誰かが無責任なことを言っても、なぜかAさんが火消し役になっていたり…。
帰り道、心の中で何度もこうつぶやいていたそうです。
「どうして私ばっかり…」
でも、いざ面と向かって何かを言おうとすると、
「嫌なやつだと思われたくない」
「角が立つのは面倒くさい」
そんな気持ちが勝って、結局なにも変えられないまま。
★この「なんで私ばっかり…」という考えが、ノン・アサーティブ(受動型)なのです。

あるある誤解:「我慢しない=攻撃すること」
ある日、Aさんは同期と話していて気づいたことがありました。
その同期ははっきり自分の意見を言えるタイプ。
でも、周囲から嫌われている様子はなく、むしろ信頼されていました。
「自分の気持ちを伝えるって、相手を攻撃することじゃないんだよ」
同期がそう言ったとき、Aさんはハッとしました。
★Aさんの中には、
言う=責める
Noを伝える=冷たい人
という思い込みがあったんです。
でも実際には、「丁寧に、相手のことも尊重しながら伝える」方法がちゃんとある。
それが、アサーティブ・コミュニケーションです。

アサーティブ・コミュニケーションとは?
アサーションとは、
「自分の気持ちや感情、意見などを正直に、また状況に応じて適切に表現すること」
を意味します。
アサーティブ・コミュニケーションとは、
「自分も相手も大切にする自己表現という意味を持つコミュニケーション」
です。
実は、日本語には”アサーション”を表す言葉がありません。
なので、”アサーション”は”アサーション”のまま使われることが多いのです。
よくある3つのタイプと比較して理解する
伝え方には、大きく以下の3タイプがあります。

つまり、アサーティブとは「自己犠牲せず、相手も傷つけずに、伝える」ための方法論です。
アサーティブに話すための基本フレーム:DESC法
アサーティブ・コミュニケーションは感覚ではなく論理的に練習できるスキルです。
その代表的な方法が「DESC法」と呼ばれる4ステップ。

例えば、「定時後の作業依頼」を断る場面。
①Describe(客観的な事実を述べる)
「昨日も今日も、17時以降に急ぎの資料直しをお願いされていますよね。」
②Express(自分の感情を伝える)
「正直に言うと、集中力が切れてしまっていて、クオリティにも影響が出そうで不安です。」
③Specify(具体的な希望・提案を伝える)
「できれば、朝の時間に前もってご相談いただけると助かります。」
④Choose(相手の反応がYESかNOか、両方の場合を考え、選択肢を示す)
YESの場合「そうしていただければ、余裕をもって丁寧に対応できます。」
この4つを順番に伝えるだけでも、感情的にならず、かつ伝えたいことが伝わるようになります。

アサーティブは「自分を大事にする習慣」
「遠慮する」でも「怒る」でもなく、「伝える」。
このスタンスを身につけることは、職場に限らず人間関係全般のストレス軽減に大きく役立ちます。
特に、以下のような方には有効です。
NOと言えずに疲れやすい
気をつかいすぎて職場がしんどい
言いたいことを我慢してしまう
自分ばかり損してる気がする
アサーティブは、「自分を守りながら、相手との関係を築く」ための、誰でも練習できるスキルです。
まずは一言から始めてみるのもよいかもしれません。
最初から完璧にアサーティブに話す必要はありません。
「今日は早めに帰りたいです」
「その件、少し考える時間をもらってもいいですか?」
そんな一言から始めるだけで、あなた自身のストレスと人間関係は少しずつ変わっていきます。

最後に:頑張り屋さんほど、まずは自分を大切にしてほしい
あなたがもし、「言いたいことが言えない自分」に悩んでいるなら、 それは優しさの裏返しなのかもしれません。
でも、伝えることはわがままではありません。
むしろ、自分を守るための最低限のコミュニケーションなんです。
アサーティブな伝え方は、練習すれば誰でもできるようになります。
Aさんもそうですし、悩んでいる方が多くいる今だからこそ、あなたに伝えたいのです。
もし一人では難しいと感じたり、
もう少し生きやすくなりたいと感じたら、
お気軽にお問合せ下さい。
実はアサーティブコミュニケーションのコツは他にもいくつかあります。
他のコツについてはまたいつか記事で書きたいと思います。
最後まで読んでくださってありがとうございました。